2003年7月15日(火)
刀のはなし7
刀の働き
「働き」という言葉は、日本刀鑑賞時の特殊用語であります。
日本刀製作の最終過程である焼き入れの後に、刀身に変化が起こります。第一に反りが生じます。これは、刀の方が棟(みね)の方よりも鉄が薄いので伸びる率が大きくなり、自然と反りが上向きになるのです。もし直刀を製作しようとする場合は、あらかじめ刀を下向きに曲げておくのです。
反りには外反りと内反りがあり、京反り、腰反り、筍(たけのこ)反り、無反りに分けられます。
第二に、働きが刃紋の中と刃境(はざかい)に生じます。これは、種々の炭素の量が違って表れて、その姿や形で名前が表現されます。最も硬い鋼(はがね)の組織で微粒子が目で確認できるものを沸(に)えと呼びます。沸えと同じ組織ですが、粒子が細く、目で見えないものを匂いと呼びます。肉眼で匂いは霧のように見えます。
日本刀は、よく沸え出来とか、匂い出来と表現されます。相州伝法の刀は焼き入れの際に、高温度処理のために沸えがよく出てきます。低温処理の備前伝法の刀は匂い出来です。
刃中の沸えと匂いの中、キラリと光った線状のものを金筋とか金線と呼びます。金筋が激しく曲がったものを稲妻とか雷と呼びます。
金筋が平地の中に現れたものを地景(ちけい)と呼びます。刃境と刃中に砂地を箒(ほうき)で掃いたような縞模様のものを砂流しと呼びます。映りは、平地に刃紋の影のように白く、または黒く見えるものの名称です。特に備前伝法の鎌倉時代の太刀によく現れます。
働きには40種以上あり、鑑定、鑑賞時の見どころです。ほかの働きを次に箇条書きに致します。
足、葉(よう)、掃きかけ、棟焼き、飛び焼き、玉(たま)、湯走り、打のけ、薯蔓(いもづる)、ほつれ、二重刃、三重刃、綴(と)じなど。
桑港刀剣博物館では、種々の働きのある日本刀を手に取って見ることができます。各種の日本刀が鑑賞刀として提出されます。
刀の働き
「働き」という言葉は、日本刀鑑賞時の特殊用語であります。
日本刀製作の最終過程である焼き入れの後に、刀身に変化が起こります。第一に反りが生じます。これは、刀の方が棟(みね)の方よりも鉄が薄いので伸びる率が大きくなり、自然と反りが上向きになるのです。もし直刀を製作しようとする場合は、あらかじめ刀を下向きに曲げておくのです。
反りには外反りと内反りがあり、京反り、腰反り、筍(たけのこ)反り、無反りに分けられます。
第二に、働きが刃紋の中と刃境(はざかい)に生じます。これは、種々の炭素の量が違って表れて、その姿や形で名前が表現されます。最も硬い鋼(はがね)の組織で微粒子が目で確認できるものを沸(に)えと呼びます。沸えと同じ組織ですが、粒子が細く、目で見えないものを匂いと呼びます。肉眼で匂いは霧のように見えます。
日本刀は、よく沸え出来とか、匂い出来と表現されます。相州伝法の刀は焼き入れの際に、高温度処理のために沸えがよく出てきます。低温処理の備前伝法の刀は匂い出来です。
刃中の沸えと匂いの中、キラリと光った線状のものを金筋とか金線と呼びます。金筋が激しく曲がったものを稲妻とか雷と呼びます。
金筋が平地の中に現れたものを地景(ちけい)と呼びます。刃境と刃中に砂地を箒(ほうき)で掃いたような縞模様のものを砂流しと呼びます。映りは、平地に刃紋の影のように白く、または黒く見えるものの名称です。特に備前伝法の鎌倉時代の太刀によく現れます。
働きには40種以上あり、鑑定、鑑賞時の見どころです。ほかの働きを次に箇条書きに致します。
足、葉(よう)、掃きかけ、棟焼き、飛び焼き、玉(たま)、湯走り、打のけ、薯蔓(いもづる)、ほつれ、二重刃、三重刃、綴(と)じなど。
桑港刀剣博物館では、種々の働きのある日本刀を手に取って見ることができます。各種の日本刀が鑑賞刀として提出されます。