2007年1月9日(火)
刀のはなし48
柄巻(つかまき)
柄巻をする専門家を柄巻師と呼びます。鞘師(さやし)が製作した柄の木台に、エイ皮と組紐(くみひも)、菱紙を使用して、拵の外装を施すのが柄巻師の仕事です。
柄巻はすでに奈良時代より始められ、江戸時代を経て現代に至っています。使用される材料は柄紐とか柄糸と呼ばれています。絹と綿から作られていて、多種多様な色や巻き方があります。柄糸を染める材料に鉄分が入っているので、柄糸は寿命が長くても100年くらいです。30年から40年くらいの月日を経るとボロボロになったり、ほころびが出てきます。蛇腹(じゃばら)系や化粧系も使用されます。
もともと柄巻は、刀を上手に操れるように考案されました。また柄の補強の目的もあります。実戦で使用される太刀や刀が、手から滑らないように、手持ちをよくする役割もあります。古代においては柄に樹木や藤などのつるで巻いていましたが、時代が進むにつれて変化し、江戸時代になると、エイ皮と和紙で表面を包んで、木綿や正絹(しょうけん)の組紐で菱形の格好に巻くようになりました。エイ皮には、大粒(親粒)と子粒(小粒)があります。
柄の木台に使用される朴(ほお)の木は7年から10年間寝かせ、あくを抜いて乾燥させます。長いときは20年以上寝かせます。風通しの良い場所で、直射日光を避けて乾燥させます。次に木台に合わせてエイ皮を裁断します。そしてそれを柄の木台に貼り合わせ(着せるとも言う)ます。明治のころまでは、鞘師と柄巻師以外に、エイを着せる専門家がいました。
着せ方には①短冊着(たんざくぎせ)②前垂着(まえだれぎせ)③腹合着(はらあわせぎせ)の三通りがあります。柄巻の最終的な出来上がりを予想して、エイ皮の大きさ、組紐の太さや巻き数を考慮しなくてはいけません。エイ皮の接着には続飯(そくいい)が使用され、柄の刃方と棟方(みねかた)に薄く削った小さな木を、菜種油と松やにを混ぜた、くすねと呼ばれる接着剤で貼付けます。こうした作業の後に柄糸の長さを決めて、柄巻が始められます。 巻き出しは一文字とも呼ばれ、巻き方には諸撮(もろつまみ)巻、諸捻(もろひねり)巻、平巻、結玉(むすびだま)、方捻(かたひねり)巻、ねじり巻、方撮(かたつまみ)巻、篠巻、掛巻などがあります。最後の巻きを留(とめ)と呼びます。巻きの途中で目貫(めぬき)が据えられ、向き方や位置にも掟があります。柄巻師は、実戦の機能性に美しい芸術性を加え、昭和と平成の時代もがんばっています。
柄巻(つかまき)
柄巻をする専門家を柄巻師と呼びます。鞘師(さやし)が製作した柄の木台に、エイ皮と組紐(くみひも)、菱紙を使用して、拵の外装を施すのが柄巻師の仕事です。
柄巻はすでに奈良時代より始められ、江戸時代を経て現代に至っています。使用される材料は柄紐とか柄糸と呼ばれています。絹と綿から作られていて、多種多様な色や巻き方があります。柄糸を染める材料に鉄分が入っているので、柄糸は寿命が長くても100年くらいです。30年から40年くらいの月日を経るとボロボロになったり、ほころびが出てきます。蛇腹(じゃばら)系や化粧系も使用されます。
もともと柄巻は、刀を上手に操れるように考案されました。また柄の補強の目的もあります。実戦で使用される太刀や刀が、手から滑らないように、手持ちをよくする役割もあります。古代においては柄に樹木や藤などのつるで巻いていましたが、時代が進むにつれて変化し、江戸時代になると、エイ皮と和紙で表面を包んで、木綿や正絹(しょうけん)の組紐で菱形の格好に巻くようになりました。エイ皮には、大粒(親粒)と子粒(小粒)があります。
柄の木台に使用される朴(ほお)の木は7年から10年間寝かせ、あくを抜いて乾燥させます。長いときは20年以上寝かせます。風通しの良い場所で、直射日光を避けて乾燥させます。次に木台に合わせてエイ皮を裁断します。そしてそれを柄の木台に貼り合わせ(着せるとも言う)ます。明治のころまでは、鞘師と柄巻師以外に、エイを着せる専門家がいました。
着せ方には①短冊着(たんざくぎせ)②前垂着(まえだれぎせ)③腹合着(はらあわせぎせ)の三通りがあります。柄巻の最終的な出来上がりを予想して、エイ皮の大きさ、組紐の太さや巻き数を考慮しなくてはいけません。エイ皮の接着には続飯(そくいい)が使用され、柄の刃方と棟方(みねかた)に薄く削った小さな木を、菜種油と松やにを混ぜた、くすねと呼ばれる接着剤で貼付けます。こうした作業の後に柄糸の長さを決めて、柄巻が始められます。 巻き出しは一文字とも呼ばれ、巻き方には諸撮(もろつまみ)巻、諸捻(もろひねり)巻、平巻、結玉(むすびだま)、方捻(かたひねり)巻、ねじり巻、方撮(かたつまみ)巻、篠巻、掛巻などがあります。最後の巻きを留(とめ)と呼びます。巻きの途中で目貫(めぬき)が据えられ、向き方や位置にも掟があります。柄巻師は、実戦の機能性に美しい芸術性を加え、昭和と平成の時代もがんばっています。