2006年12月5日(火)
刀のはなし47
研磨石
天然の研磨石と人口研磨石が存在します。人口研磨石は天然研磨石の代わりですが、どこを使っても品質が一定です。天然研磨石の良質なものは、最近見つかりません。
研磨石を顕微鏡で見ると、スイスチーズのようです。石粒の堅い粒子と、柔らかい粒子の粘土から成り立っています。そこへ水が流れ込んで、研磨汁と呼ばれる粘り気のある粘土と石粒が絡み合って日本刀を少しずつ削っていきます。石粒と粘土は主として石英(せきえい)、長石(ちょうせき)です。
研磨に必要な研磨石は、7、8種類です。研磨師によっては12、13、また20も違う研磨石を使用する方々もいます。深錆のある日本刀は、まず金剛砥ですべて錆を落とします。金剛砥は人口研磨石です。ほかの荒砥石は笹口砥、平島砥、大村砥などです。次にやや荒い研磨石、伊予砥(伊予は愛媛県)が使用されます。次に備水砥(びんすいと)が使用されます。備水砥には3種類あります。伊予砥と備水砥で日本刀の姿形が整えられます。次に改正砥が使用され、備水砥で付けられた小さなひっかき疵をきれいに取り除きます。ここまでは研磨石を刀身に当てる角度は45度です。そしてこれまでが荒研磨石の下地研磨の過程です。
仕上げ研磨のはじめの砥石が、中名倉砥(ちゅうなぐらと)です。作業の工程も一変して、刀身の刃紋に沿って研磨し、シャクリ上げとかタツと呼ばれる技術が施されます。中名倉は三河算(徳川家康の持っていた山から産出される)です。次の研磨石は細名倉です。やはりシャクリ上げの技術を使い、この辺で地中(じちゅう)の働き、刃中の働きが、刃境でくっきりと分かれて見えてきます。次に内曇りと地砥(じと)が使われ、日本刀の肌が完璧に見えてきます。研磨石の色は、薄茶、黄、緑です。次の研磨石が内曇り刃砥(はど)で、地肌が白っぽく見え、平地の辺はピカピカと光ってきます。ここまでが仕上げ研磨です。最終過程は、差し込み研磨か化粧研磨にするかの選択で、終了過程が違ってきます。 研磨された日本刀の色は白、青、灰色、黒の混同です。昔から白鉄(しろがね)とか黒鉄の美と賞賛されています。戦国時代には、一国にも値する日本刀は富と権力の象徴でした。その良さを引き出す役が優秀な研磨師でした。
研磨石
天然の研磨石と人口研磨石が存在します。人口研磨石は天然研磨石の代わりですが、どこを使っても品質が一定です。天然研磨石の良質なものは、最近見つかりません。
研磨石を顕微鏡で見ると、スイスチーズのようです。石粒の堅い粒子と、柔らかい粒子の粘土から成り立っています。そこへ水が流れ込んで、研磨汁と呼ばれる粘り気のある粘土と石粒が絡み合って日本刀を少しずつ削っていきます。石粒と粘土は主として石英(せきえい)、長石(ちょうせき)です。
研磨に必要な研磨石は、7、8種類です。研磨師によっては12、13、また20も違う研磨石を使用する方々もいます。深錆のある日本刀は、まず金剛砥ですべて錆を落とします。金剛砥は人口研磨石です。ほかの荒砥石は笹口砥、平島砥、大村砥などです。次にやや荒い研磨石、伊予砥(伊予は愛媛県)が使用されます。次に備水砥(びんすいと)が使用されます。備水砥には3種類あります。伊予砥と備水砥で日本刀の姿形が整えられます。次に改正砥が使用され、備水砥で付けられた小さなひっかき疵をきれいに取り除きます。ここまでは研磨石を刀身に当てる角度は45度です。そしてこれまでが荒研磨石の下地研磨の過程です。
仕上げ研磨のはじめの砥石が、中名倉砥(ちゅうなぐらと)です。作業の工程も一変して、刀身の刃紋に沿って研磨し、シャクリ上げとかタツと呼ばれる技術が施されます。中名倉は三河算(徳川家康の持っていた山から産出される)です。次の研磨石は細名倉です。やはりシャクリ上げの技術を使い、この辺で地中(じちゅう)の働き、刃中の働きが、刃境でくっきりと分かれて見えてきます。次に内曇りと地砥(じと)が使われ、日本刀の肌が完璧に見えてきます。研磨石の色は、薄茶、黄、緑です。次の研磨石が内曇り刃砥(はど)で、地肌が白っぽく見え、平地の辺はピカピカと光ってきます。ここまでが仕上げ研磨です。最終過程は、差し込み研磨か化粧研磨にするかの選択で、終了過程が違ってきます。 研磨された日本刀の色は白、青、灰色、黒の混同です。昔から白鉄(しろがね)とか黒鉄の美と賞賛されています。戦国時代には、一国にも値する日本刀は富と権力の象徴でした。その良さを引き出す役が優秀な研磨師でした。