2006年10月10日(火)
刀のはなし45
白鞘(しらさや)
白鞘は「油鞘(あぶらさや)」「休め鞘」という名称もあります。
古来、朴(ほう)の木が使用され、現在に至っています。朴の木はやにが出ないので、錆の心配がありません。北国の朴の木は硬すぎ、南国の朴の木は柔らかすぎます。関東地方、特に長野県、群馬県近辺の朴の木が最良です。これは、年輪の密度にも関係しています。朴の木から小さく加工された材木は、5年から7年くらいの間、風通しのよい場所で自然乾燥されたものが最適です。
朴の木のほかの用途は、下駄、裁縫の台、台所のまな板などです。朴の木は刀身に疵をつけない最良の木です。杉、松などは朴の木よりも柔らかいですが、やにが出るので錆びの心配があります。
現在製作に使用している朴の木は、日本からの輸入品です。私見ですが、私が使用している朴の木は、北鎌倉の別荘にある倉庫で10年間乾燥させたものです。これで鞘と柄を製作しています。
白鞘は大別して2種類あります。一つは永久保存の白鞘。他は長さと形を変えることができる白鞘で、柄の部分が長く出来ています。これは、外側を少し削った後、エイの皮を入れ込んで、柄巻を行うからです。また、刀身の入る部分も少し太めに出来ています。これも、外側を少し削った後、表面に漆(うるし)の下地をかぶせ、鞘全体を塗るためです。白鞘の製作工程は次の通りです。
①木取り
刀身の姿、形に合わせて材木から切り出す作業です。
②掻き入れ
種々のノミで二枚の板に刀身、または忠(なかご)が入り込むように切り出す作業。鞘の内部を削るときには、差し込んだ刀の切先が収まる部分に大きめのみぞ「チリ落とし」を削り込み、鞘の内部で切先が周囲に当たらないようにしなければいけません。鎺金袋とは、鞘口の近辺のみぞのことです。
③のり付け
二枚の板を接着させる作業です。早飯(そくいい)と呼ばれるのりを使用します。こののりも、特殊な白米と水を混ぜ合わせますが、経験と技術が伴います。 のり付けの前には、二枚の板を細かいひもで強く縛り、一週間から二週間放置したあと、鞘の中に刀身を抜き差して鞘の狂いがないかを調べます。のり付けの後は、荒削り、中削り、仕上げ削りです。トクサやムクの葉も最終的に使われます。目釘穴も柄の部分に空けます。これも掟が伴います。
白鞘(しらさや)
白鞘は「油鞘(あぶらさや)」「休め鞘」という名称もあります。
古来、朴(ほう)の木が使用され、現在に至っています。朴の木はやにが出ないので、錆の心配がありません。北国の朴の木は硬すぎ、南国の朴の木は柔らかすぎます。関東地方、特に長野県、群馬県近辺の朴の木が最良です。これは、年輪の密度にも関係しています。朴の木から小さく加工された材木は、5年から7年くらいの間、風通しのよい場所で自然乾燥されたものが最適です。
朴の木のほかの用途は、下駄、裁縫の台、台所のまな板などです。朴の木は刀身に疵をつけない最良の木です。杉、松などは朴の木よりも柔らかいですが、やにが出るので錆びの心配があります。
現在製作に使用している朴の木は、日本からの輸入品です。私見ですが、私が使用している朴の木は、北鎌倉の別荘にある倉庫で10年間乾燥させたものです。これで鞘と柄を製作しています。
白鞘は大別して2種類あります。一つは永久保存の白鞘。他は長さと形を変えることができる白鞘で、柄の部分が長く出来ています。これは、外側を少し削った後、エイの皮を入れ込んで、柄巻を行うからです。また、刀身の入る部分も少し太めに出来ています。これも、外側を少し削った後、表面に漆(うるし)の下地をかぶせ、鞘全体を塗るためです。白鞘の製作工程は次の通りです。
①木取り
刀身の姿、形に合わせて材木から切り出す作業です。
②掻き入れ
種々のノミで二枚の板に刀身、または忠(なかご)が入り込むように切り出す作業。鞘の内部を削るときには、差し込んだ刀の切先が収まる部分に大きめのみぞ「チリ落とし」を削り込み、鞘の内部で切先が周囲に当たらないようにしなければいけません。鎺金袋とは、鞘口の近辺のみぞのことです。
③のり付け
二枚の板を接着させる作業です。早飯(そくいい)と呼ばれるのりを使用します。こののりも、特殊な白米と水を混ぜ合わせますが、経験と技術が伴います。 のり付けの前には、二枚の板を細かいひもで強く縛り、一週間から二週間放置したあと、鞘の中に刀身を抜き差して鞘の狂いがないかを調べます。のり付けの後は、荒削り、中削り、仕上げ削りです。トクサやムクの葉も最終的に使われます。目釘穴も柄の部分に空けます。これも掟が伴います。