2006年3月7日(火)
刀のはなし38
日本刀の偽物、偽銘
日本刀には在銘と無銘があります。在銘で正真物を得ることが収集家の願望です。しかし、現実は厳しく、在銘の8、9割は残念ながら偽銘です。
昔の偽銘は、幼稚で刀の勉強をした人はすぐに分かりますが、最近は刀剣の研究が進んできているので、偽銘を見抜くのは容易ではありません。
偽物の忠(なかご)の仕立て方には様々な様式があります。
①継ぎ忠(なかご)
疵、研ぎ減りのひどい正真銘と、出来栄えの良い無銘刀や下作物の刀身上部をつなぎ合わせたものです。継いだ部分にブツブツした肌が出たり、鎬筋(しのぎすじ)が曲がっていたり、忠のやすり目が乱れていたり、刃紋の焼きだしが消えていたり、青味がかった色が出ています。現代では溶接技術、技巧がかなり進んでいるので、見極めはかなり難しくなっています。
②短冊銘
刀身上部にある欠陥のある正真銘を短冊形に切り取って、下作物の忠にはめ込んだ例です。刀に小さめな短刀の短冊銘が入れられたものを見たことがあります。
③折り返し銘
元来、大磨上(おおすりあげ=短くすること)の忠に仕立てる際に、銘の部分を切り落とすのを惜しんで、折り返しにしました。折り返しになっている場所がはっきりとつながっているものが本物です。折り回しとも呼ばれています。
④改銘物
銘の一字を消して新しく改める方法です。清光が兼光になったり、正家が吉家になったり、改銘後は高価で取引されていました。
⑤後銘
最も多いものです。無銘のものや、下作物の銘を消して高名な刀匠の銘を入れたものです。
偽銘は、日本刀完成期である平安末期からありました。そのころの刀に銘を入れる意味は、現代と違っていました。日本刀は玉鋼の材料で出来ているべきで、折り返し鍛錬をへて製作されるべきです。しかし、安いものを簡単につくって高価で売りたい業者は、鉄板を切り抜いて日本刀の形にしたり、安いナマガネを作って売り出しました。それに対する禁止令が出て、銘を入れることが義務づけられました。 ナマガネや鉄板を切り抜いて作った刀に銘があれば、犯人逮捕が容易だった訳です。銘を入れたということは、日本刀に対する品質保証でもありました。
日本刀の偽物、偽銘
日本刀には在銘と無銘があります。在銘で正真物を得ることが収集家の願望です。しかし、現実は厳しく、在銘の8、9割は残念ながら偽銘です。
昔の偽銘は、幼稚で刀の勉強をした人はすぐに分かりますが、最近は刀剣の研究が進んできているので、偽銘を見抜くのは容易ではありません。
偽物の忠(なかご)の仕立て方には様々な様式があります。
①継ぎ忠(なかご)
疵、研ぎ減りのひどい正真銘と、出来栄えの良い無銘刀や下作物の刀身上部をつなぎ合わせたものです。継いだ部分にブツブツした肌が出たり、鎬筋(しのぎすじ)が曲がっていたり、忠のやすり目が乱れていたり、刃紋の焼きだしが消えていたり、青味がかった色が出ています。現代では溶接技術、技巧がかなり進んでいるので、見極めはかなり難しくなっています。
②短冊銘
刀身上部にある欠陥のある正真銘を短冊形に切り取って、下作物の忠にはめ込んだ例です。刀に小さめな短刀の短冊銘が入れられたものを見たことがあります。
③折り返し銘
元来、大磨上(おおすりあげ=短くすること)の忠に仕立てる際に、銘の部分を切り落とすのを惜しんで、折り返しにしました。折り返しになっている場所がはっきりとつながっているものが本物です。折り回しとも呼ばれています。
④改銘物
銘の一字を消して新しく改める方法です。清光が兼光になったり、正家が吉家になったり、改銘後は高価で取引されていました。
⑤後銘
最も多いものです。無銘のものや、下作物の銘を消して高名な刀匠の銘を入れたものです。
偽銘は、日本刀完成期である平安末期からありました。そのころの刀に銘を入れる意味は、現代と違っていました。日本刀は玉鋼の材料で出来ているべきで、折り返し鍛錬をへて製作されるべきです。しかし、安いものを簡単につくって高価で売りたい業者は、鉄板を切り抜いて日本刀の形にしたり、安いナマガネを作って売り出しました。それに対する禁止令が出て、銘を入れることが義務づけられました。 ナマガネや鉄板を切り抜いて作った刀に銘があれば、犯人逮捕が容易だった訳です。銘を入れたということは、日本刀に対する品質保証でもありました。