桑港日本刀協会
  • Home
  • ニュース
    • 2011年
    • 2012年
    • 2013年
    • 2014年
    • 2015年
  • メンバー紹介ホーム
    • ダニエルさん
    • スティーブさん
    • テッドさん
    • ポールさん
    • ジミーさん
    • スチュアート
  • 刀 修理•修繕
  • メディア
    • ベイエリアに暮らす
    • 研磨師星野の日本刀講座(週刊ベイスポ)
    • 刀の話(日米タイムズ)
  • 刀 売り買い
  • つぶやき
  • About Us

2005年9月13日(火)

刀のはなし32

日本刀の疵

 日本刀の疵は40種類以上あります。無疵に見える刀でも、精査すれば意外と小疵が多いものであります。
 侍が切り合いをしていた江戸時代や日常茶飯事に戦いのあった室町時代には、日本刀は武器でありました。実用刀としての日本刀を重視して、致命的な疵のある刀の中で使用上の欠陥のあるものは特に価値なしとして扱われていました。近代では、日本刀は実用刀として見なさないので、むしろ美術的価値を重視するようになり、疵に対する考えが少しずつ変化してきています。次に疵のある刀を挙げてみます。
 刃切れのある刀は、斬撃の際の衝撃で折れる恐れがあるので価値なしと考えられています。烏口(からすぐち)と鳥の口のある刀は、刺したり突いたりする際に切先が欠損する恐れがあり、実用には適しません。50年以上、剣術、試し切りを行っている経験上、私も刃切れの価値はないと思っています。
 日本刀を精査すると、平地、刃地、鎬(しのぎ)地、棟にしわかカビのような筋が見えます。これらをしなえと呼んでいます。百足(むかで)しなえ、萌えしなえ、棟しなえなどがありいずれにせよ、しなえは斬撃の際に曲がったり折れたりする恐れがあり、また美観上もみにくいので、価値を減じてしまいます。
 膨れは、折り返しの鍛錬のときに鍛接(たたいて接着させること)の不十分な場所に空気が入り込み、小さな穴になったり、中に錆が生じて芯鉄(しんがね)が表れます。やはり美観を損ねます。
 鍛え割れ、縦割れは折り返し鍛錬のときに不十分な鍛接で、その場所にひび割れ、筋割れが生じたものです。刀先にからんで出たものは刃搦(はがら)みと呼んでいます。柾目鍛の日本刀や柾目肌の強い日本刀では、これを柾割れと呼んで疵としては認めていません。
 刃こぼれは、ほかの日本刀と切り合いのときに、刃が欠けたり、こぼれたりして生じたもので研磨で修理修繕が可能です。他の疵も次に挙げてみます。
 打込み、石気(いしけ)、地荒れ、疲れ、匂切れ、刃染み、焼身、焼直しなどです。
 武人に尊重、珍重され、疵であって疵とされないものがあります。矢疵と切り込み疵です。これらは、斬撃に絶えた戦歴を物語る記念すべき疵なのです。 桑港日本刀博物館には、疵のある日本刀も展示しています。
Powered by Create your own unique website with customizable templates.