筋の通った中西さん
私の昔からの悪友である中西さんの顔が最近怖くなって来ました。詩吟を趣味で練習して、お弟子さんもたくさんいるそうです。オバサンの生徒や年寄りの生徒から「顔が怖い、顔が怖い」と最近言われ始めたそうです。私にも「顔が怖いか」と聞くので「はい、メチャ怖いです。シンドク怖くて、キタナくて、醜い顔だ」と言ってやりました。加齢のせいもあって、四、五年前から顔が衝撃的で猛烈に怖くなってきています。絶対に、小さい子供が中西さんの顔を見たら泣いちゃうでしょう。赤子も黙る、中西さんの厳しいお顔です。
顔はひどいですが、中西さんの言うことは昔から筋が通っています。曲がったことは嫌いなようです。一度、ある人を土下座させ ました。それも、その人の奥さんのまん前で、ばっちりと土下座をさせました。土下座させられた人は、昔、中西さんが経営していた武道具会社の近くで寿司レストランを経営する近藤さんという人です。近藤さんは口が達者で、うわさとかゴシップを聞くと、喜んで確かめずもせずに他人にベラベラしゃべりまくります。うそでも良いみたいです。自分が楽しめれば、それで良いと思っているみたいです。危ない癖です。
1987年の夏頃、近藤さんの寿司レストランに行きました。ランチを食べていると、近藤さんが私のテーブルに来て、いつもの世間話とうわさ話を始めていろんな人の悪口を言ったり、最近巷で聞いた話などをするのです。私は、それらの話は別にどうでも良いのですが、近藤さんは話を続けてます。その中に完全なるうその話がありました。私の悪友の中西さんの話です。近藤さんが申すには、最近、中西さんがサンフランシスコの日本町へ行って、ギャンブルをして、酒を飲んで酔った勢いで人を殴り、傷つけたと言うのです。私は、中西さんがサンフランシスコの日本町へは最近行っていないのを知っていました。まして、ギャンブルなんかやりません。マージャンと限定していったなら、信用したでしょう。でも、あの気の良い中西さんという人は、自分の店を閉めて、夜の九時頃からそこでテーブルを用意して徹夜マージャンを、奇妙な友達としていたのを私は知っています。近藤さんの話は完全にでっち上げです。レストランを出て、悪友の中西さんの店に行き、竹刀、木刀など買って世間話をして笑っていました。私が「近藤さんが、中西さんのうわさ話をしていた」と言うと「またかい?」と言う中西さんです。日本町でギャンブルをして、酒を飲んで、人を傷つけたことを聞いたと言うと笑い飛ばされてしまいました。全然、怒る気配もありませんでした。その日は金曜日でした。私も、夕方4時前には中西さんの店を出て、サンフランシスコの自宅へ戻りました。
次の日の土曜日、ハーキュレスに住んでいた中西さんに電話をしました。朝の11時ごろでした。中西さんは留守で、奥さんのマサ子さんが応答しました。主人は「さっき、いきなり叫んで、取り乱して、怒りながら出て行きました。多分、店に行っているはずです」と奥さんも焦りながら語るのです。昨日のことが頭に来たのかなと、私は思いました。バークレー近くにある武道具屋へ電話しましたが、中西さんはいませんでした。しかし20分後にまた店に電話するといました。そして、近藤君を土下座させたことを熱く語るのです。私も詳細を聞いて爆笑してしまいました。
土下座事件の一週間くらい前に、斉藤芳雄という悪党がいて、中西さんよりぶちのめされて、半殺しの目にあっていました。中西さんが近藤さんの経営する寿司屋の近くを通りがかり、中西さんの前を、いきなりさえぎって喧嘩を仕掛けたのが斉藤です。中西さんは少林寺拳法を日本で習っていたので、とっさに誰かにまん前で身構えられると、自動的に攻撃してしまうそうです。 斉藤は中西さんに投げ倒され、蹴りを入れられ、顔をなぐられ血まみれになりました。寿司屋の店先に這えずりながらたどり着いた斉藤を、近藤さんが助けて店の裏に連れて行き介抱してやったそうです。
近藤さんは、大暴れの中西さんにぶちのめされた斉藤芳雄を見ていたので、中西さんには恐怖を抱いておりました。その一週間後の土曜日に店にいきなり飛び込んできた中西さんに「どうして作り話を他人にするのか」と問いただされて、あせり始めました。「何でも言うことを聞くので、勘弁して下さい」と頼む近藤さんの胸ぐらを摑んで、中西さんは言ったそうです。「本当に悪いと思うなら、土下座をしろ」と脅かしたのです。完全にビビッている近藤さんでした。自分の奥さんのまん前で土下座をさせられたのです。近藤さんが可哀そうと思いましたが。作り話をした近藤さんが悪いのです。
中西さんみたいな人は、最近見かけません。ドスの利いた日本人はどこに行ってしまったのでしょう。残念です。
顔はひどいですが、中西さんの言うことは昔から筋が通っています。曲がったことは嫌いなようです。一度、ある人を土下座させ ました。それも、その人の奥さんのまん前で、ばっちりと土下座をさせました。土下座させられた人は、昔、中西さんが経営していた武道具会社の近くで寿司レストランを経営する近藤さんという人です。近藤さんは口が達者で、うわさとかゴシップを聞くと、喜んで確かめずもせずに他人にベラベラしゃべりまくります。うそでも良いみたいです。自分が楽しめれば、それで良いと思っているみたいです。危ない癖です。
1987年の夏頃、近藤さんの寿司レストランに行きました。ランチを食べていると、近藤さんが私のテーブルに来て、いつもの世間話とうわさ話を始めていろんな人の悪口を言ったり、最近巷で聞いた話などをするのです。私は、それらの話は別にどうでも良いのですが、近藤さんは話を続けてます。その中に完全なるうその話がありました。私の悪友の中西さんの話です。近藤さんが申すには、最近、中西さんがサンフランシスコの日本町へ行って、ギャンブルをして、酒を飲んで酔った勢いで人を殴り、傷つけたと言うのです。私は、中西さんがサンフランシスコの日本町へは最近行っていないのを知っていました。まして、ギャンブルなんかやりません。マージャンと限定していったなら、信用したでしょう。でも、あの気の良い中西さんという人は、自分の店を閉めて、夜の九時頃からそこでテーブルを用意して徹夜マージャンを、奇妙な友達としていたのを私は知っています。近藤さんの話は完全にでっち上げです。レストランを出て、悪友の中西さんの店に行き、竹刀、木刀など買って世間話をして笑っていました。私が「近藤さんが、中西さんのうわさ話をしていた」と言うと「またかい?」と言う中西さんです。日本町でギャンブルをして、酒を飲んで、人を傷つけたことを聞いたと言うと笑い飛ばされてしまいました。全然、怒る気配もありませんでした。その日は金曜日でした。私も、夕方4時前には中西さんの店を出て、サンフランシスコの自宅へ戻りました。
次の日の土曜日、ハーキュレスに住んでいた中西さんに電話をしました。朝の11時ごろでした。中西さんは留守で、奥さんのマサ子さんが応答しました。主人は「さっき、いきなり叫んで、取り乱して、怒りながら出て行きました。多分、店に行っているはずです」と奥さんも焦りながら語るのです。昨日のことが頭に来たのかなと、私は思いました。バークレー近くにある武道具屋へ電話しましたが、中西さんはいませんでした。しかし20分後にまた店に電話するといました。そして、近藤君を土下座させたことを熱く語るのです。私も詳細を聞いて爆笑してしまいました。
土下座事件の一週間くらい前に、斉藤芳雄という悪党がいて、中西さんよりぶちのめされて、半殺しの目にあっていました。中西さんが近藤さんの経営する寿司屋の近くを通りがかり、中西さんの前を、いきなりさえぎって喧嘩を仕掛けたのが斉藤です。中西さんは少林寺拳法を日本で習っていたので、とっさに誰かにまん前で身構えられると、自動的に攻撃してしまうそうです。 斉藤は中西さんに投げ倒され、蹴りを入れられ、顔をなぐられ血まみれになりました。寿司屋の店先に這えずりながらたどり着いた斉藤を、近藤さんが助けて店の裏に連れて行き介抱してやったそうです。
近藤さんは、大暴れの中西さんにぶちのめされた斉藤芳雄を見ていたので、中西さんには恐怖を抱いておりました。その一週間後の土曜日に店にいきなり飛び込んできた中西さんに「どうして作り話を他人にするのか」と問いただされて、あせり始めました。「何でも言うことを聞くので、勘弁して下さい」と頼む近藤さんの胸ぐらを摑んで、中西さんは言ったそうです。「本当に悪いと思うなら、土下座をしろ」と脅かしたのです。完全にビビッている近藤さんでした。自分の奥さんのまん前で土下座をさせられたのです。近藤さんが可哀そうと思いましたが。作り話をした近藤さんが悪いのです。
中西さんみたいな人は、最近見かけません。ドスの利いた日本人はどこに行ってしまったのでしょう。残念です。