桑港日本刀協会
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2005年6月14日(火)

刀のはなし29

試し切り

 幼少のころ、初めて拝見した試し切りは祖父星野惣十郎の東京都の自宅で催され、居合道、剣道、剣術の達人たちが祖父のかけ声のもとに試し切りに挑んでいました。試し切りに使用された巻きワラ、青竹にもいろいろな工夫がされていました。一時間ほどで試し切りも終わり、みんなで祖母の用意した昼ご飯を楽しく会食したのを覚えています。昭和30 年代のころでした。祖父は97歳で他界しました。
 私も祖父の影響で剣術、抜刀術、試し切りなどを一応体得して1971年夏に渡米しました。
 試し切りの練習は、青竹と巻きワラを使用しています。青竹は直径3センチから4センチくらいのものが手ごろです。巻きワラは、芯として細い竹を中に入れてワラで包みます。細い竹は人間の脊柱の代わりです。ワラは数カ所を縄で男結びにします。出来上がりのワラは長さが1メートル弱、直径15センチくらいです。ワラ竹も水に浸して影干しにして、人間の首の硬さになるまで放置しておきます。
 次に用意された巻きワラ、ワラ竹を木の台に設置して試し切りをします。切り方は袈裟(けさ)切り、袈裟掛けなどと呼ばれ、ちょうど首のあたりか鎖骨に目標を定めます。大上段に振りかぶり、刀を引くように振り下ろします。その時にはいろいろな条件に遭遇します。切れ味を左右する条件には、大別して使用刀の性能、また斬り手の腕前の二つがあります。使用刀の性能はやはり出来の良さで、刀鍛冶の技術がものを言います。良くできた刀は体配均整も良く、持った時の感じもすばらしいものです。切れ味を増すには刃角、刃筋も考慮しなくてはなりません。切り手は常に練習、錬磨に励んでいます。人間の足、手、目、首、指など体のすべては大自然から与えられた法則があり、日常の練習でそれらを最高の状態に保つように心がけるべきです。 第三の条件は研磨の技術です。試し切りに使用される刀の物打ちまたは、上部切先から3寸のあたりまでを備水砥(びんすいと)と改正砥で研ぎあげます。試し切りに使用する刀は武器なので、仕上げ研磨は必要ありません。機会あって第二次大戦で使用され100人以上の敵を切った刀を研磨したことがあります。体配、刃肉のとり方が普通の日本刀と違っていました。試し切りに使用された日本刀の忠には試し切り銘が入れられ、慶長時代前後からの流行として金象嵌銘(きんぞうがんめい)や銀象嵌銘が見受けられます。
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