2004年11月12日(金)
刀のはなし19
日本刀の焼き入れ
日本刀製作の最終過程は焼き入れです。刀匠が大変苦労するところです。焼刃土を刀身に塗って焼き入れをするといった方法は日本刀製作の大きな特徴です。焼刃土の調合法にも各刀匠の秘伝、 口伝、奥伝があります。
焼き入れの後に、刀身に4つの特徴が現れます。①刃紋②反り③働き④映り(移りとも書く)。移りは簡単に言えば第二の刃紋です。今回は沸えと匂いの区別を話します。
土取りの関係で刀身に種々の刃紋が生じ、刃境の上下に肉眼で見える粒子が生じます。これらは刀の地肌に生じた地沸えです。粒子の大きなものを「荒沸え」。刃紋の中に小さい砂が筋になって流れているような沸えを「砂流し」と呼びます。沸えは焼き入れの際、高温で焼いた刀身を水に入れる時の水の温度、冷却の速度、火加減、水加減の調節によって表れます。沸えは、刀身に点の連続帯常円形状、かたまり、芋の蔓のような状態で表れます。沸えが深いとか、沸え出来、沸え本位と称されます。
匂いは地肌と刃紋の境目が鏡に息を吹きかけたようなほんのりとうるんだ状態、または春の霞がほんのりとたなびき線状に表れた状態、夜空の星の天の川のようにぼんやりとかすんだ状態をいいます。しかも、刃紋の境がはっきりせず、柔らかい品位のある状態です。匂いが深いとか、匂い本位、匂い出来と称されます。
元来、沸えと匂いは学問上では同じものですが、沸えは火加減が強かったため、匂いから変化したものです。沸えと匂いは日本刀鑑定の際の基本です。古刀五箇伝も沸えと匂いのどちらかに属します。 山城伝は小沸え本位で、大和伝は中沸え本位、相州伝は荒沸え本位です。備前伝は匂い本位で、美濃伝は匂い出来の伝法です。
日本刀の焼き入れ
日本刀製作の最終過程は焼き入れです。刀匠が大変苦労するところです。焼刃土を刀身に塗って焼き入れをするといった方法は日本刀製作の大きな特徴です。焼刃土の調合法にも各刀匠の秘伝、 口伝、奥伝があります。
焼き入れの後に、刀身に4つの特徴が現れます。①刃紋②反り③働き④映り(移りとも書く)。移りは簡単に言えば第二の刃紋です。今回は沸えと匂いの区別を話します。
土取りの関係で刀身に種々の刃紋が生じ、刃境の上下に肉眼で見える粒子が生じます。これらは刀の地肌に生じた地沸えです。粒子の大きなものを「荒沸え」。刃紋の中に小さい砂が筋になって流れているような沸えを「砂流し」と呼びます。沸えは焼き入れの際、高温で焼いた刀身を水に入れる時の水の温度、冷却の速度、火加減、水加減の調節によって表れます。沸えは、刀身に点の連続帯常円形状、かたまり、芋の蔓のような状態で表れます。沸えが深いとか、沸え出来、沸え本位と称されます。
匂いは地肌と刃紋の境目が鏡に息を吹きかけたようなほんのりとうるんだ状態、または春の霞がほんのりとたなびき線状に表れた状態、夜空の星の天の川のようにぼんやりとかすんだ状態をいいます。しかも、刃紋の境がはっきりせず、柔らかい品位のある状態です。匂いが深いとか、匂い本位、匂い出来と称されます。
元来、沸えと匂いは学問上では同じものですが、沸えは火加減が強かったため、匂いから変化したものです。沸えと匂いは日本刀鑑定の際の基本です。古刀五箇伝も沸えと匂いのどちらかに属します。 山城伝は小沸え本位で、大和伝は中沸え本位、相州伝は荒沸え本位です。備前伝は匂い本位で、美濃伝は匂い出来の伝法です。