桑港日本刀協会
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2003年1月1日(水)

刀のはなし1

米国に存在する日本刀

 日本刀はもちろん武器ですが、現在ではその本来の使用目的ではなく、多くの人々が収集する美術品として売買するようになっています。日本刀の所持、売買に登録証が必要な日本とは違い、米国では日常雑貨類と同じように、日本刀を気軽に売買することができます。戦後、在日米国兵士が持ち帰ったものを含め、米国には40万から50万振の日本刀が存在するといわれていますが、残念ながら正確な数字は分かっていません。

 私の経験から、米国内に存在する日本刀の8割以上が、なんらかの修理修繕、特に研磨が必要であるようです。柄の鞘などの拵えと呼ばれる刀身以外の部分に破損がある場合は、あくまでも見た目の問題ですから、新しい拵えを作るなど、修理が簡単に行えます。

 問題は刀身の修復です。鑑定会に持ち込まれる刀身の半数以上は、何らかの疵が刀身に見られます。疵はしなえ、鍛割れ、刃がらみなど、全部で40種類以上に分類されています。中でも修復が非常に難しいものに、ふくれ、ふくれ破れなどがあります。ふくれは、刀鍛冶が折り返し鍛錬(※1)を行った際に、鍛接の不十分な場所に空気が入って生じたもので、その部分が小豆粒のように膨らんで見えることからこう呼ばれます。このふくれが破れたものをふくれ破れと呼び、破れた部分から錆びた芯鉄(※2)が顔を出していることも度々あります。最悪な疵は刃切れと呼ばれるヘアラインのクラックです。刃切れがある日本刀は、戦闘の際の衝撃によってその場所が口を開けて折れる可能性があるため、収集家や愛好家には好まれないために、ほぼ無価値となってしまいます。

 こうした刀身の疵の多くは、研磨や修復により、きちんと直せることが多いだけでなく、研磨をすることによって錆の進行を防ぎ、末長く保存することが可能となってくるのです。次回は刀の体配、反り、長さの話を致します。

(※1)日本刀は、地鉄を熱して、何度も何度も折り返しながらこれを溶接(鍛接と呼ぶ)することにより、独特の地肌の模様や、切れ味、強度などを生み出している。
(※2)日本刀はまた、芯鉄とよばれる柔らかい鉄があり、ショックに強い鉄を芯にして、これを強度が高く、鋭い切れ味の刃を精製する鋼でもって包み込み、ショックに強いながら鋭く切れるという、矛盾する性質を達成している。
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